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中東観察

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2009/07/18
16:26
【プラントの肖像】住友化学 海外進出で先鞭 中東に一大拠点

1913年、愛媛県新居浜の別子銅山で銅の製錬の際に生じる排ガスの中から、有害な亜硫酸ガスを除去し、それを原料に肥料を製造したのが住友化学の 始まりだ。58年に愛媛工場で石油化学製品の基礎原料となるエチレンの製造設備を稼働させ、石油化学事業に進出した。現在は、石油化学事業については、千 葉の京葉臨海工業地帯に位置する千葉工場に集約している。

サウジアラムコとの合弁で建設したサウジアラビアにある「ラービグ」。17平方キロメートルの大規模プラント
サウジアラムコとの合弁で建設したサウジアラビアにある「ラービグ」。17平方キロメートルの大規模プラント

一方、海外展開については、同業他社よりも早く、84年にシンガポールにコンビナートを形成。日本の化学メーカーの海外進出の先鞭(せんべん)をつけたといわれる。現在は、自動車バンパーに使われる高品質樹脂などを生産し、中国をはじめとするアジア地域に供給している。

なかでも、「当社始まって以来の非常に大きな存在になる」(米倉弘昌会長)と期待をかけるのが今年3月末に稼働を開始した、中東の石油化学コンビナート「ペトロラービグ」。

当初予想の2倍に膨れあがった総額1兆円を、サウジアラビアの国営企業「サウジ・アラムコ」などと合弁で投じた。エチレン生産だけでも、1プラ ントで日本の総生産量の約2割をまかなう。生産量は年130万トンと世界最大級。中東のカントリーリスクを指摘する向きもあるが、スケールメリットに加 え、ナフサでなく、安いエタンガスを原料に、汎用樹脂を生産するため、コストメリットが高い。この稼働が始まったことで、「世界3極体制」が構築された。 国内依存からの脱却で、生き残りを目指す計画だ。

住友化学の千葉工場。年38万トンのエチレンを製造している=千葉県市原市
住友化学の千葉工場。年38万トンのエチレンを製造している=千葉県市原市
また、技術力にも定評がある。同社が開発した「プロピレンオキサイド(PO)単産法プロセス」は、製造工程で副産物を発生させずに、塗料、接着剤などの原 料となるPOのみを生産することを可能にした。塩素を含む廃棄物や排水が発生しないメリットも併せ持つ。同技術を用いた生産設備は、2003年から千葉工 場で稼働を開始した。このほか、塩酸を塩素に転換する過程においても、従来の15分の1のエネルギーで生成できる技術を確立している。

CSR(企業の社会的責任)活動においては、防虫剤を練り込んだ蚊帳「オリセットネット」が有名だ。需要国のアフリカで現地生産し、雇用も確保。米国のTIME誌において「世界一クールな技術」と絶賛された。

同社は現在、100を超えるグループ会社とともに、基礎化学、石油化学、精密化学、情報電子化学、農業化学、医薬品の6つの事業分野にわたり、幅広い製品をグローバルに提供している。
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