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中東観察

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2009/06/29
13:18
イラン 報道弾圧くぐり抜ける新メディア 民主化の同志はネットの先に

 オバマ米大統領は23日、イラン大統領選挙後の混乱について「圧制で平和的に正義を求める取り組みから世界の目をそらすことはできない」と語った。

イラン政府は、携帯電話などの通信手段や報道機関を取り締まることで、大統領選挙後の抗議行動に関する報道を規制しようと躍起になっている。

しかし、イランの活動家は、短い文章を送受信するネットサービス「ツイッター」や動画共有サイト「ユーチューブ」などのインターネットサービスを利用して自らの言葉や写真、ビデオ映像を配信し、大統領選挙後の状況を西側へ伝えることに成功している。

≪支えるIT企業≫

今回の混乱によって、欧米のハイテク企業が、イラン国内の政治活動に深くかかわっていることが浮き彫りになった。

ツイッターを使って報道弾圧を回避しようという方法そのものは、メディアが大々的に取り上げるほど目新しいものではない。イランにおけるツイッター利用で新しかったのは、反政府活動への支援と新興テクノロジー企業との結び付き方だった。

新興テクノロジー企業にとってイランは経済的な利害とほとんど結びついていない。しかしツイッターは「イランにおける重要な情報伝達手段となっている」との理由でサービスを中断して行う保守作業を延期した。

ツイッターは米政府から保守作業延期の要請があったことを公式には否定しているが、多くの報道機関がその可能性について指摘している。

ユーチューブは、主要報道機関からのイランについての情報が制限されている現状を考慮し、暴力的な表現に対する規定を緩和した。

銃撃を受けて絶命しつつある動画がツイッターやユーチューブで配信されたイラン人女性ネダさんらの写真を手に、スイスでデモを行うイラン出身者ら=24日、チューリヒ(AP)
●銃撃を受けて絶命しつつある動画がツイッターやユーチューブで配信されたイラン人女性ネダさんらの写真を手に、スイスでデモを行うイラン出身者ら=24日、チューリヒ(AP)

イラン政府によるデモ活動の取り締まりは裏目に出ている。政府が、両者の言い分を伝えるという職業倫理を持つ海外の報道機関を排除したために、イランに 関する報告はブロガーや市民ジャーナリストの手によるものが大部分となり、彼らの撮影したビデオ映像が世界の主要メディアで流されたためだ。

≪小さな自由利用≫

イラン政府が遮断しきれなかったことで、インターネットの強靭(きょうじん)性も明らかになった。とくに、携帯機器や無料の情報共有サービス、創意工夫と自分自身の言葉を伝えたいと考える人々が一体となったときに、インターネットは力を発揮する。

イランで抗議活動を行う人たちは、どのように新しい情報伝達技術を活用して検閲をくぐり抜け、西側の報道機関やテクノロジー企業から支持を取り 付けるのか、世界中の活動家に手本を示した。それは、うわべだけの民主主義を名乗る国々にとっても教訓となっただろう。市民は、さらなる自由を手に入れる ためには、どんな小さな自由も利用する。そして、とくに欧米政府からの支持が得られたとき、新しい情報技術によって自由の獲得が促される。
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