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2009/07/18 16:20 |
イエメン 過激思想受け入れ 「第2のアフガン」の恐れ |
外国人観光客襲撃などで死刑判決を言い渡されるサイード・サンカール容疑者(右)。国際テロ組織アルカーイダのメンバーとみられる=13日、イエメンの首都サヌア(AP)
イエメンの裁判所は13日、ベルギー人女性観光客の殺害や米大使館の襲撃に対して国際テロ組織アルカーイダのメンバーとされる6人に死刑判決を言い渡した。イエメンではテロが慢性化しており、近隣諸国や欧米にまで輸出される恐れがある。
イエメンのテロの規模を評価する際に問題となることの一つは、国際社会のほうがイエメンよりもテロを深刻にとらえている点だ。国内的には、政府にとって も野党にとっても、国家が直面する他の課題と比べて、封じ込めが可能な小さな問題とみられている。優先課題は(1)同国北西部サーダのイスラム教シーア派 過激派の反乱(2)旧南イエメンの分離運動(3)悲惨な経済・社会問題-などだ。テロは観光に打撃を与え、投資を逃避させるかもしれないが、体制の安定を 脅かすほどではない。
イエメンにはアルカーイダのイデオロギーに共鳴した、小規模のテロ組織が数多く存在するとみられる。「アラビア半島のアルカーイダ (AQAP)」はサウジアラビアを拠点としていたが、同国で対テロ作戦が効果を上げると、今度はイエメンのソフト・ターゲット(警戒が比較的緩い攻撃対 象)を狙うようになった。
イエメンでは貧困や社会問題を背景に、過激思想を受け入れる風潮があるため、1つの武装組織が制圧されると別の組織が現れる。アフガニスタンやパキスタンで圧迫を受けるアルカーイダ指導部がイエメンに新しい拠点を見いだすシナリオを欧米や近隣諸国は恐れている。
イエメンではテロを生む内的要因と、それを許容する社会の風土があるため、テロ問題は解決しないまま残るだろう。ただし、いまテロの脅威を根絶 しなければ「新しいアフガニスタン」が姿を現す可能性がある。根深い経済・社会問題への取り組みが失敗すれば、イエメンは破綻(はたん)国家となり、現状 より一層大きなテロ問題を生むだろう。
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