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中東観察

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2009/07/13
14:56
イラク:バビロンの遺跡、米軍駐留で損壊 ユネスコ調査

 【カイロ和田浩明】イラク中部の古代都市バビロンの遺跡がイラク戦争後の米軍駐留などで大きく損壊していたことが、国連教育科学文化機関(ユネス コ)の調査で明らかになった。ユネスコが9日に発表した報告書によると、遺跡の敷地内に多数の溝が掘られて未発見の埋蔵物が破壊されたり、重機などの使用 で古代の寺院や路面が損害を受けた。報告書は、世界遺産登録を視野に損害の調査と修復を進めるようイラク当局に勧告している。

 バビロンはバグダッドの南約90キロに位置。世界最古の法典の一つを整備したハンムラビ王らが治めた。約5000年前の存在の記録が残っている。 外壁内の面積は約10平方キロ。イラク戦争開始直後の03年4月に占拠され、同年9月から04年12月まで、米軍とポーランド軍などが「キャンプ・アル ファ」基地として使用した。

 ユネスコの報告書によると、敷地内には長さ13~162メートル、幅や深さが約1~3メートルの溝8本が掘られていた。また、表土が広範囲にはぎ取られたり、整地された場所も20カ所以上あった。こうした工事は防御設備などの構築を目的に施されたとみられる。

 溝のうち少なくとも2本は、未発見の埋蔵物の一部を掘り起こしていることが確認された。また、重機の移動でネブカドネザル2世王(紀元前605年 ごろ~562年在位)が建設した宮殿に通じる「行列道路」の路面が損壊した。寺院の一部は屋根が崩壊しており、近くの発着場を利用するヘリコプターの振動 が原因だった可能性があるという。

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