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中東観察

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2009/07/24
11:49
テロとの戦いと米国:第3部 アフガン非対称戦/2 治安育成、新たな任務

「もっと前向きな話し合いができないか」。20代の米軍将校が口をはさんだが、長老たちが口論をやめる気配はなかった。アフガニスタン南東部パク ティカ州の南端にあるワザクワ米前線基地。この地区では、米軍と地域の有力者が定期的に会合を持ち、地元の治安対策などを話し合う。だがこの日の会合は、 村で起きた車の盗難事件で長老たちが対立。しびれを切らした将校の一人は、「時間の無駄だ」と語気を強めた。

 アフガンの遠隔地では、住民の紛争は村の長老が話し合いで解決策を探る。車の盗難は地元にとって大きな問題だが、「テロと戦う国家づくり」を目指 す若い将校は、必ずしも重視しない。会合に居合わせたアフガン国軍のコバンデリ大尉(39)は、「この国は戦争続きだ。人々は国家の未来より、まず自分の 未来を考える」と話した。

    ◇

 「今の米軍幹部には、戦闘指揮とは別の新たな能力が求められている」。同州西部クシュマン前線基地のコナー大尉が指摘する。

 陸軍は06年、対ゲリラ戦マニュアルを作成。部隊に市民を守り、地元治安部隊を育て、武装勢力を孤立させるよう命じた。その序文には、「兵士は軍人であると同時に、国家の建設者となることが求められている」とある。

 先月15日、同基地のゴーブル中尉(27)が地元の警察を訪ねると、管内36人の警官のうち、10人余りが署内でぶらぶらしていた。「タリバンが 爆弾を仕掛けるので、危なくてどこにも行けない」。警察幹部の一人が釈明する。「それは前にも聞いたが、警察にはマシンガンもあるし、学校や市場に警察が 立つだけでも市民は安心する」。中尉が静かに言う。

 一般に、武装勢力との戦闘は米軍やアフガン軍が担当。市街地の警備は警察が担う。だが武装勢力は軽装備の警察を狙う傾向もあり、パトロールを渋る警察官は少なくない。

 沈黙の中、中尉がポケットの葉巻を取り出して渡すと、警察幹部に笑みがこぼれた。一定の成果を目指す米軍と、家族と共に戦場に暮らし続ける地元警察官。そのせめぎあいの中で、ゴーブル中尉は、「できることからやろう」と繰り返した。

 アフガン駐留米軍は、地元の治安部隊育成に必要な米兵が足りないとして、3万人の追加派兵の要請を検討している。【クシュマン前線基地などで大治朋子】=つづく



●こういう記事が読みたかった!!現場でどのように具体的な人間関係が行われているのか
想像のしようがないからな.続編が楽しみだ.

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