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中東観察

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2009/07/21
06:21
仏、UAEに軍事基地 陸海空の3拠点、イラン抑止狙う

図:  

【パリ=国末憲人】フランスがアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに軍事基地を開設し、この秋から本格的に運用する。仏にとって50年ぶり、アフリカ 以外で初の国外軍事拠点。ペルシャ湾を挟んで向き合うイランへの抑止を狙ったとみられ、湾岸地域への関与に慎重だった仏の戦略転換と受け止められている。

 仏大統領府によると、仏はアブダビ近郊に陸海空3カ所の拠点を設置した。海軍拠点では8ヘクタールの敷地に長さ300メートルの岸壁を設け、空母以外の すべての艦船の寄港を可能とし、沖合に停泊する空母への支援設備も整えた。空軍は、UAEの基地の中に08年から先行して戦闘機ミラージュなどを配備し、 陸軍も別のUAE基地内に拠点を設けた。

 9月までに3カ所で総計約500人の部隊を配備する。

 イランを牽制(けんせい)するとともに、イランの動きに関して情報を収集するのが目的と、仏メディアはみる。フィガロ紙は「核開発問題などをめ ぐって交渉が決裂すると、米国のイラン攻撃の可能性は否定し切れない。その際の備えとなる」と分析。また、アフガニスタン支援への中継基地の役目を果たす ほか、イラク、パキスタンといった紛争を抱える国の有事に対応する意図もあるとみられる。

 仏は従来、自国の国益に直接結びつくアフリカ諸国の紛争に積極的に介入してきたものの、その他の地域での軍事活動には慎重な姿勢を保っており、国 外の基地も植民地時代を引き継ぐアフリカのみだった。UAEとは95年に安保協定を結んだものの、シラク前大統領も基地設置には消極的だったといわれる。 フィガロ紙は「仏戦略地政学上の大転換」と位置づけた。

 サルコジ大統領は仏外交専門誌のインタビューで「この地域の安定に貢献することは、世界の安定にとって不可欠だ」と説明した。
 

 今回の基地設置は、仏とUAEとの思惑が一致した結果と取りざたされる。UAEはイランの脅威を常に感じてきた一方、隣の大国サウジアラビアへの警戒感 も強く、サウジと密接な関係を持つ米国への一辺倒の安全保障にも懐疑的。米英と異なる軍事パートナーを探していたという。

〈ティエリ・ドモンブリアル仏国際関係研究所長の話〉 仏が基地設置に踏み切ったのは、サルコジ大統領になって決定プロセスが迅速になったことに 加え、9・11テロやイランの脅威の増大によってこの地域でUAEの戦略的重要性が高まったからだ。イラン問題への欧州の関与を求める米国にとっても、仏 の湾岸進出は歓迎すべきことだ
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