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2009/07/13 14:28 |
米調整官:イラン問題でロシア協力なら核交渉譲歩…講演で |
【ロンドン笠原敏彦】米ホワイトハウスのセイモア調整官(大量破壊兵器・安全保障・軍備管理担当)は9日、ロンドンの国際戦略研究所(IISS) で講演し、「ロシアがイラン(核問題)で協力するなら、核交渉では譲歩する用意がある」と語った。米国は、米露間の新たな核軍縮条約交渉とイラン核問題の 「期限」をともに年内に置いているが、イラン核問題をにらみながら対露交渉を進める姿勢を鮮明にした。
セイモア氏は米核政策のキーマンで、第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約の枠組みで合意したモスクワでの米露首脳会談に同行した。
セイモア氏はまず、イラン核問題で年内に「目に見える成果」がなければ、国連安保理での制裁強化に乗り出す方針を説明。その上で、米露間の新核軍 縮条約交渉での譲歩の可能性について語り、「米国が戦略核問題で譲歩すれば、ロシアはイランで協調する可能性が高くなるだろう」との見通しを示した。
その理由として、ロシアの戦略兵器は「5~10年」で退役するものが多く、「新条約による米国との核の均衡をより望んでいるからだ」と説明した。また、イランや北朝鮮などの個別の核問題では、核問題に対処する国際的な態勢の強化が重要だと語った。
「譲歩」の中身については触れなかったが、米露間の新条約妥結には「四つの障害」があるとし、▽米国の東欧へのミサイル防衛(MD)配備計画▽米国の長距離ミサイルの通常弾頭化構想▽核兵器の運搬手段の削減内容▽検証・査察の取り決め--を挙げた。
オバマ政権は年内の米露核軍縮条約合意、来年3月のワシントンでの「世界核安全保障サミット」開催で弾みを付け、5月のNPT(核拡散防止条約)再検討会議へ臨むというシナリオを描く。
米露両首脳が6日に合意した新条約の枠組みのポイントは、戦略核弾頭数を1500~1675個とすることで、モスクワ条約(02年)の同 1700~2200発より、多少でも削減努力を示したことだ。オバマ政権は、「核なき世界」への取り組みに真剣であることをアピールすることが可能になっ た。
米国は、核安保サミットに日韓を含む世界20~30カ国の首脳を招待する予定。セイモア氏は「サミットではNPT再検討会議についても論議されるだろう」とした上で、「我々は、核軍縮に向けた誇るべき実績を携えてNPT再検討会議に参加することになる」と思惑を語った。
また、2度目の地下核実験などで問題が悪化している北朝鮮核問題では、各国が「非核化」の原則に固執することが重要だとし、「そうしないと日本や韓国が核保有の選択肢に抵抗することが困難になる」と述べた。
さらに、核保有国・中国については、「信頼できる核戦力の構築を決意しているのは明らかだ。自信を持てば、その透明性は高まるかもしれない」と指摘。現時点では、中国との核削減の交渉に展望を持ちえていないことを示唆した。
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