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中東観察

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2009/07/25
11:12
テロとの戦いと米国:第3部 アフガン非対称戦/3 子供の未来阻む汚職

 6月の青空が広がるアフガニスタン南東部パクティカ州。南部のワザクワ米軍前線基地から、小隊長のスコット中尉(24)が近くの学校に向かった。子供たちに学用品を配るという。ところが約30人の教師らが、ぞろぞろと学校から出て来る。

 「給料を払わないから、抗議に行く」。教師の一人が不満げに言った。月給は本来、4200アフガニー(約8300円)だが、地元の教育省幹部は 「アフガン通貨もパキスタン通貨も村の市場では同じ価値」と主張。4000パキスタン・ルピー(約4600円)しか支払わず、教師が抗議すると今年3月、 支払いを停止したという。シャーハン校長(25)は「役人は為替の差額を盗んでいるんだ」と怒りをぶちまけた。

    ◇

 アフガン政府の汚職体質は、来月の大統領選でも大きな論点だ。米国国際開発庁によると、米国が02年からこれまでにアフガンに送った80億ドル (7500億円)のうち、適正に処理されたのはわずか1割。大半は使途不明になっているという。米軍はゲリラ戦対策として武装勢力タリバンを孤立させ、 「市民に信頼される政府」を目指す。だがアジア財団の08年調査によると、市民の3人に1人はアフガンの未来に悲観的で、半数は治安、2割は汚職体質を理 由にあげている。

    ◇

 「お金を見せてほしい」。スコット中尉が地区センターで金庫を確認すると、すべてパキスタン通貨だった。「政府はアフガン通貨で支給しているのだ から、そのまま払えばいいでしょう」。中尉の言葉に、ガウハル知事代理(40)も教育省幹部も「ずっとパキスタン通貨で払ってきた」と繰り返すばかりで要 領を得ない。校長の希望で中尉らが立ち会い、今後はアフガン通貨を使うと約束することで「決着」した。

 近くの市場に行くと、学校に行けない子供たちが集まっていた。サイード君(13)は「学校はしょっちゅう休みになる。去年は目の前で校舎が爆破さ れたよ」と言う。タリバンは普通教育を否定。学校周辺に爆弾を仕掛け、マドラサ(イスラム神学校)に通学するよう脅している。教師のジャバルヘルさん (22)は、「我々も命がけだが、教育は国の未来を支える大切な仕事だから」と、自分に言い聞かせるように話した。【ワザクワ前線基地で大治朋子】=つづ く

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