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中東観察

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2009/07/29
16:36
旅:オスマン建築を堪能 トルコ

 東西文明の十字路、トルコには華々しい文化の歴史がある。イスタンブールの街並みは、ローマ帝国やオスマン帝国の栄華をしのぶ壮麗な建築物に彩ら れている。天を刺すように伸びるミナーレ(尖塔(せんとう))、高いドーム型の天井、幾何学模様の美しいタイル……。偶像崇拝を禁じたイスラム教の下、芸 術家は建物に情熱を燃やした。16世紀に活躍したトルコ最高の建築家、ミマール・シナン(推定1489~1588)の足跡をイスタンブールとエディルネに 訪ねた。【藤田祐子】

 ◇天を突く尖塔、壮観 帝国最盛期の巨匠・シナン設計 栄華表すモスク、宿

 「シナンを知らないトルコ人はいません。最も尊敬する建築界の先人で、大学に『シナン研究』という専門分野があるほどです」

 日本留学の経験があるトラキア大学の建築研究者、ジャンダン・ズルフィカルさん(37)が言う。ミマールはそのまま「建築家」の意で、ルネサンス芸術の建築家で画家で彫刻家だったミケランジェロ(1475~1564)とほぼ同時代を生きたのは偶然か。

 数奇な生涯の偉人だ。元々はキリスト教徒で、皇帝直属の軍人を育てるオスマン帝国独特の「イエニチェリ」で頭角を現す。そこで、スレイマン大帝に 見いだされ、40代後半で宮廷建築家に任命された。90代半ば(推定)で亡くなるまでに、宮殿、モスク、神学校、霊廟(れいびょう)、隊商宿(キャラバン サライ)、ハマム(大浴場)など400以上の建造物を手がけたと伝わる。日本語ガイド歴13年のディレッキ・ケキリッキさんが「ぜひ見てもらいたいモスク です」と話し、リュステム・パシャ・モスクに案内してくれた。

 日用品やスパイスが並ぶエジプトバザールの喧騒(けんそう)を抜けて階段を上ると、静かな空間が広がった。スレイマン大帝の宰相リュステム・パシャのため、シナンが1561年に設計したモスクだ。

 内壁は幾何学模様のタイルで埋め尽くされ、青く輝いている。チューリップやカーネーションなどをモチーフにシナンがデザインしたという。ディレッ キさんがささやいた。「現在の技術では発色できません。スレイマン大帝のため建設したスレイマニエ・モスクが有名で、その習作ともいわれます。でも、細部 すべてに気が配られ、シナンの素晴らしさが分かる。私はここが一番好きです」

 天窓からの柔らかな光に包まれて、男性が1人、じゅうたんにひざまずいてこうべを垂れていた。

    □

 イスタンブールを離れ、1365年から約100年間、オスマン帝国の都が置かれた古都エディルネへと向かった。ギリシャ国境から5キロ、ブルガリ ア国境から10キロに位置し、今も昔もギリシャ、ブルガリアからの玄関口だ。中心街には、今もホテルとして営業するリュステム・パシャ・キャラバンサラ イ、16世紀のソクルル・ハマムなどシナン設計の歴史的建築物が目に付く。目抜き通りには、物憂げな表情でひざをつくシナンの銅像が立っていた。

 シナン自身が「自分の最高傑作」と評した代表作がセリミエ・モスクだ。4本の尖塔は、町のどこからも目に入る。1569年、スレイマン大帝を継い だセリム2世の命だった。シナンは80歳を超えていたが、アヤソフィア大聖堂(537年完成)の大ドーム(直径31メートル)を超えるドームを建てる夢を 描いた。6年がかりで、8本の柱が半円形の天井(直径31・5メートル)を支えるモスクが完成した。

 「完成当時は世界最大のモスク。今もトルコの誇りです」とジャンダンさん。中庭には、金曜礼拝のために大勢の家族連れがいた。異教徒の観光客にもほほえみ、日陰へと手招きしてくれた。

    □

 イスタンブールに戻った最終日、グランドバザールから歩いてシナンの霊廟を目指した。セリミエ・モスク完成後、90歳近いシナンが自分のために設 計したとされる。スレイマニエ・モスク近くの路地裏にある飾り気のない大理石のたたずまいに、オスマン帝国の最盛期を生きた希代の建築家を思った。

 ◇バザールに輝く甘い宝石「ロクム」

 オスマン帝国時代からの伝統菓子が「ロクム」。間口の小さな専門店のショーケースいっぱいに輝いていたり、バザールでは黄金色の照明に宝石のようにきらめいている。

 19世紀の英国人が「ターキッシュ・ディライト(トルコの歓喜)」と名付けて持ち帰り、ヨーロッパに広まった。英児童文学「ナルニア国物語」で は、魔女が子どもを誘惑する重要なシーンに登場し、4きょうだいの次男はその甘い魔力にとらわれてしまう(日本語版ではプリンに置き換えられている)。

 砂糖をまぶした小さなかけらを口に含むと、もっちりとした感触と淡い甘さが広がる。なんだか妙に懐かしい。和菓子のぎゅうひに似ている。同行の日本人が「これは……ゆべしだ!」とうれしそうな声を上げた。

 イスタンブールで訪れたいのはグランドバザールだ。工芸品、食料品など4000店以上が軒を連ねる。手描きの伝統陶器を扱う店に入ったら、店主が ふた付きの皿を差し出した。そこにはロクムが盛られていた。「客人に甘いロクムをふるまうのはオスマン時代からの伝統。『仲良くしましょう(甘い言葉を交 わしましょう)』という意味さ」と笑った。甘さは客人を歓待する心意気の象徴でもあるらしい。

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 ◇成田、関空から直行便

 日本からイスタンブールへは成田空港から週4便、関西空港から週3便、トルコ航空と全日空が共同運航する直行便がある。両国政府の航空当局間協議 で輸送拡大が決まり、来年3月下旬からは、成田-イスタンブールが週6便に増える見込み。関空便の増便や中部空港への就航も期待される。

 日本と同様に四季があり、観光シーズンは春~秋(4~10月)。夏は欧米のバカンス客が多い。トルコ政府観光局によると、日本からトルコへの観光 客は2005年に初めて10万人を超え、06年12万5755人、07年16万8852人と増加。トルコへの観光客全体に占める日本人の割合は0.7% (07年)。


▼親日トルコは是非一度行ってみたい国の一つ.

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