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中東観察

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2009/06/29
13:03
レバノン新首相のハリリ氏 ヒズボラ含む挙国一致内閣を目指す

2009.6.28 23:31

 【カイロ=村上大介】レバノンのスレイマン大統領は27日、今月7日に行われた総選挙で勝利した与党連合を率いるサアド・ハリリ氏(39)=未来潮流党首=を首相に指名した。ハリリ氏は、親シリア派のイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)など野党連合を加えた挙国一致内閣の樹立を目指すと表明した。

 サアド氏は2005年に爆殺されたラフィーク・ハリリ元首相の次男で、父親暗殺はシリアの仕業と主張している。事件後の総選挙で「反シリア連合」は勝利したが、その後の内閣は事実上、機能麻痺(まひ)が続き、昨年5月、与野党の武力衝突で80人以上が死亡する事態へと発展。カタールが仲介に入り、野党勢力に閣僚ポストの3分の1を与える妥協案で事態は収拾された。

 しかし、野党が閣僚の3分の1を占めることは、野党が閣議決定を阻止する拒否権を握ることを意味し、ハリリ氏ら与党指導者は選挙前から「野党に拒否権は与えない」と繰り返し発言してきた。

 これに対し、野党側は挙国一致内閣に参加する条件として、総選挙前と同じ閣僚数の割り当てを求めており、挙国一致内閣の組閣は難航が予想される。ハリリ氏は25日、ヒズボラ指導者のナスララ師と会談したが、協議継続で合意するに留まっている。
 

 与党側にとっては、政府軍よりも強力なヒズボラの武装解除問題も重要な課題となっているが、ハリリ氏は「対話を通じて解決する必要がある」として、ヒズボラ側を刺激しないよう融和的な姿勢を示している。

 サウジアラビアで 巨万の富を蓄積した父親の事業を引き継いだサアド氏は建設、不動産、金融、メディアなど中東でも有数の財閥総帥でもあり、個人資産は、世界金融危機で昨年 の33億ドルから急落したものの、2009年も14億ドルと推計されている。父親の暗殺を受けて、与党連合の中心的な指導者の1人として4年間活動してき たが、首相就任で政治家の資質を本格的に試されることになった。

 

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