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中東観察

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2009/07/21
06:04
イラクが戦う最新の敵、砂嵐

【7月19日 AFP】イラクの首都バグダッド中心部にあるイブン・ナフィス(Ibn Nafis)病院の救急外来室で、46歳のサーディ・イブラヒム(Saadi Ibrahim)さんは酸素マスクをかぶって座っていた。

イブラヒムさんの声はかろうじて聞こえるほどのささやき声だ。その原因はイラクを襲っている最も新しい災難、砂嵐だ。イブラヒムさんは言う。「砂嵐はほんとうに耐えられないよ。息もできない」

夏の始まりとともに、イラクではほぼ毎日砂嵐が各地を襲うようになり、ただでさえ困難な暮らしをいっそう苦しめている。病院には呼吸器官にダメージを受けた人たちが何百人と押し寄せ、バグダッドの国際空港は砂嵐で視界を奪われ、これまで数十便のキャンセルが出ている。

強風の砂嵐のときには、市民は路上で1個250ディナール(約20円)で売っているマスクをして歩いている。

砂嵐への対処がいっそう難しいのは、電力供給が不安定だからだ。50度の猛暑にもなるなか窓を閉めることができず、風を入れようとすれば砂が入り込む。 「家に電気が通るのは1日2、3時間だけ。だからドアも窓も開けっぱなしにしておくしかない。とにかく暑すぎる」と病院の別の患者は言う。

イラク環境省で砂漠化対策局の責任者を務めるイブラヒム・シャリフ(Ibrahim Sharif) 氏は「90年代には砂嵐の発生は平均で年間8日間だった。それが今では、ひとつも砂嵐のない週がない」と訴える。「イラクの国土は乾燥地帯と半乾燥地帯 だ。雨のない季節がいくつか続き、植生が壊滅してしまった。さらに土壌や砂をとどめる植物がなければ、風が吹くと飛散してしまう」

シャリフ氏によれば、イラクを約30年間にわたり混乱させてきた戦乱にも一因があるという。イラク南部から中心部にかけて軍事車両によって緑地帯が破壊 され、それによって生じたちりが夏になるとイラクに吹く「シャマル」という季節風によって吹き飛ばされるのだという。(c)AFP/Mehdi Lebouac

 

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