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2009/07/15 09:41 |
イラク:油田地域編入に反発 クルド新憲法案、対立火種に |
【カイロ和田浩明】イラク北部のクルド自治議会が6月末に可決した新憲法案をめぐり、アラブ人主導の中央政府との対立激化を懸念する声が出ている。帰属未定の石油都市キルクークをクルド領と規定しているためで、中央側は反発、「後見役」の米国も難色を示している。13日にはマレン米統合参謀本部議長がキルクークを電撃訪問し地元政治家らと会談、帰属問題の解決を求めた。
自治議会の発表では、新憲法案は6月24日に110人中96人の議員が賛成して可決された。現地情報によると、同案は、キルクークを含む帰属未定地域のクルド自治区への編入や、軍事組織「ペシュメルガ」を区外に展開する権利を規定している。新憲法案は住民投票を経て発効するが、25日に予定されていた投票は延期された。
これに対し、連邦議会の議員50人やマリキ首相が率いるアッダワ党の幹部らが「連邦憲法に反する」などと強く批判した。
イラク憲法はキルクークの取り扱いについて、フセイン前政権が進めた住民のアラブ化政策以前の状態への復帰と人口調査を行ったうえ、住民投票で帰属を決めると定めている。期限は07年末だったが未決着で、国連の仲介で協議が続いている最中に自治議会の決定が行われた。
オバマ米政権でイラク政策を統括するバイデン副大統領も米ABCテレビのインタビューで、クルド側の動きは「状況の改善にはつながらない」と否定的な見方を示した。
キルクーク周辺の油田は、イラク全体の推定埋蔵量の1割近い100億バレルを有するとみられる。アラブ化政策で、多数派住民だったクルド人やトルクメン人が郊外に強制移住させられた。富の配分や民族間問題をめぐる中央政府と自治政府の対立を象徴する都市といえる。
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