2024/11/25 08:11 |
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2009/06/09 20:00 |
気になったニュース~2009年4月22日10時12分 読売新聞~ |
【エルサレム=三井美奈】61年前の建国以来、絶えず戦争に直面してきたイスラエルは、自軍の犠牲者ゼロをめざす「無人兵器」の開発で世界の先端を走る。
空軍力の主力はすでに無人機が担い、1月まで続いたパレスチナ自治区ガザ紛争では、リモコン兵器が多数投入された。イスラエルが目指す「兵士なき戦場」は、未来の戦場の姿を示している。
ソフトボール大の球形カメラ、30センチ四方のリモコン車――。イスラエル軍がガザ紛争で使用した新兵器は、一見するとおもちゃのようだ。
「球形カメラを地下トンネルや建物に投げ込めば、昼夜、周囲の映像や音声が送信され、敵の動きをつかめる。リモコン車は偵察用で、爆薬を積んで突撃することも可能。共に市街戦で威力を発揮する」と製造元「ODFオプトロニクス」の開発担当、ヨシ・ボルフ氏は自信たっぷりに話す。
ガザ紛争は民家や地下道に潜むゲリラ兵との戦いで、軍はこうした兵器で危険を除去して進軍し、制圧地域を広げた。
空軍はさらに先を行く。国営企業IAIの倉庫には、軽飛行機大から幅1メートルの組み立て式軽量機まで、大小の無人の偵察・攻撃機がズラリ並ぶ。
100メートル上空の機体が地上操縦室に送る映像は、人の服装や表情が分かるほど鮮明。物体の動きを自動的に追跡できる。標的に狙いを定め、操縦かんのボタンを押して攻撃する仕組みは、テレビゲームそのものだ。
イスラエル宇宙庁長官で空軍開発部門の元責任者、イツハク・ベンイスラエル准将は、「2006年夏のレバノン紛争では、軍の無人機の飛行時間が有人機を初めて上回った。ガザでは無人機への依存が一層高まった」と指摘する。
イスラエルが無人機開発に着手したのは、中東戦争さなかの1970年代にさかのぼる。当時の人口は約300万。総人口2億のアラブ諸国に対抗するため、兵力の損失回避は最大の課題だった。有人機より軽量で安価なうえ、数十時間の連続飛行が可能だ。イスラエル製は米軍や仏軍も採用し、インド、韓国など世界中に販路を広げている。
紛争が正規軍同士の戦いから、ゲリラとの局地戦に移行したことも需要拡大の背景にあり、アフガニスタンのタリバン攻撃にも使われている。米議会調査局によると、イスラエルの武器輸出額は世界7位の108億ドル(約1兆800億円、00~07年の契約ベース)となった。
◆民間人の犠牲変わらず◆
ただ、リモコン兵器の影響は未知数だ。准将は「無人機は小さな音で標的に接近できる。民間人の誤射も減らせる」と話す。
だが、世界保健機関(WHO)の報告では、ガザ紛争の死者約1300人のうち、約500人は女性や子供だった。イスラエル軍の主張通り「民間人の死者は全体で約300人」だったとしても、攻撃の精度に疑問は残る。
ガザで無人機攻撃によって3歳の娘を失った父親は、「連中は安全な場所で菓子をつまみながら、リモコンで爆撃している。腹立たしくてたまらない」と怒りをあらわにする。攻撃される側の屈辱感は大きい。
それでも、ボルフ氏は「50年後にはリモコン操作すら不要になり、敵を自動で攻撃するロボット戦争の時代が来る」と予測する。戦闘員は最新兵器で身を守り、防御の手段を持たない民間人だけが取り残される……。これが未来の戦場の姿かもしれない。
(2009年4月22日10時12分 読売新聞)
なんともまぁひどいニュースだ。記事自体は4月22日と少し古いが、気になったので載せてみた。自国の兵士のロスを減らせるための工夫というものは、有史以来繰り返し行われてきた人類の知恵だが(フランスの外人部隊しかり、核を代表とする無差別兵器しかり)チップスを銜えながらのリモコン操作はなんとも嫌悪感を生むスタイルだ。戦場というものが、互いの生命を略奪しあう場とはいえ、命をかける兵士の行為に、それなりの矜持と尊厳があったはずだが・・んん・・時代は変わる。無人の戦場へと化そうとしているガザ。新兵器の実験場か。なんとも凄惨な。そしてリアルなニュースだ。胸を張って手のひらにのせているのは開発者かな。この現実を、なによりもまずは受け止めなければいけない。
空軍力の主力はすでに無人機が担い、1月まで続いたパレスチナ自治区ガザ紛争では、リモコン兵器が多数投入された。イスラエルが目指す「兵士なき戦場」は、未来の戦場の姿を示している。
ソフトボール大の球形カメラ、30センチ四方のリモコン車――。イスラエル軍がガザ紛争で使用した新兵器は、一見するとおもちゃのようだ。
「球形カメラを地下トンネルや建物に投げ込めば、昼夜、周囲の映像や音声が送信され、敵の動きをつかめる。リモコン車は偵察用で、爆薬を積んで突撃することも可能。共に市街戦で威力を発揮する」と製造元「ODFオプトロニクス」の開発担当、ヨシ・ボルフ氏は自信たっぷりに話す。
ガザ紛争は民家や地下道に潜むゲリラ兵との戦いで、軍はこうした兵器で危険を除去して進軍し、制圧地域を広げた。
空軍はさらに先を行く。国営企業IAIの倉庫には、軽飛行機大から幅1メートルの組み立て式軽量機まで、大小の無人の偵察・攻撃機がズラリ並ぶ。
100メートル上空の機体が地上操縦室に送る映像は、人の服装や表情が分かるほど鮮明。物体の動きを自動的に追跡できる。標的に狙いを定め、操縦かんのボタンを押して攻撃する仕組みは、テレビゲームそのものだ。
イスラエル宇宙庁長官で空軍開発部門の元責任者、イツハク・ベンイスラエル准将は、「2006年夏のレバノン紛争では、軍の無人機の飛行時間が有人機を初めて上回った。ガザでは無人機への依存が一層高まった」と指摘する。
イスラエルが無人機開発に着手したのは、中東戦争さなかの1970年代にさかのぼる。当時の人口は約300万。総人口2億のアラブ諸国に対抗するため、兵力の損失回避は最大の課題だった。有人機より軽量で安価なうえ、数十時間の連続飛行が可能だ。イスラエル製は米軍や仏軍も採用し、インド、韓国など世界中に販路を広げている。
紛争が正規軍同士の戦いから、ゲリラとの局地戦に移行したことも需要拡大の背景にあり、アフガニスタンのタリバン攻撃にも使われている。米議会調査局によると、イスラエルの武器輸出額は世界7位の108億ドル(約1兆800億円、00~07年の契約ベース)となった。
◆民間人の犠牲変わらず◆
ただ、リモコン兵器の影響は未知数だ。准将は「無人機は小さな音で標的に接近できる。民間人の誤射も減らせる」と話す。
だが、世界保健機関(WHO)の報告では、ガザ紛争の死者約1300人のうち、約500人は女性や子供だった。イスラエル軍の主張通り「民間人の死者は全体で約300人」だったとしても、攻撃の精度に疑問は残る。
ガザで無人機攻撃によって3歳の娘を失った父親は、「連中は安全な場所で菓子をつまみながら、リモコンで爆撃している。腹立たしくてたまらない」と怒りをあらわにする。攻撃される側の屈辱感は大きい。
それでも、ボルフ氏は「50年後にはリモコン操作すら不要になり、敵を自動で攻撃するロボット戦争の時代が来る」と予測する。戦闘員は最新兵器で身を守り、防御の手段を持たない民間人だけが取り残される……。これが未来の戦場の姿かもしれない。
(2009年4月22日10時12分 読売新聞)
なんともまぁひどいニュースだ。記事自体は4月22日と少し古いが、気になったので載せてみた。自国の兵士のロスを減らせるための工夫というものは、有史以来繰り返し行われてきた人類の知恵だが(フランスの外人部隊しかり、核を代表とする無差別兵器しかり)チップスを銜えながらのリモコン操作はなんとも嫌悪感を生むスタイルだ。戦場というものが、互いの生命を略奪しあう場とはいえ、命をかける兵士の行為に、それなりの矜持と尊厳があったはずだが・・んん・・時代は変わる。無人の戦場へと化そうとしているガザ。新兵器の実験場か。なんとも凄惨な。そしてリアルなニュースだ。胸を張って手のひらにのせているのは開発者かな。この現実を、なによりもまずは受け止めなければいけない。
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