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中東観察

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2009/07/03
13:12
イラク米兵が同僚5名を殺害:頻発する「同僚・上官殺害」の実態

2009年5月13日

イラクからショッキングなニュースがあった。バグダッド国際空港近くにあり、厳重に防備された米軍基地キャンプ・リバティで11日(現地時間)、発砲事件があり、1人の米国人兵士が同僚の兵士5人を殺害したのだ[負傷者も3人以上と報道されている]。

詳細は現時点で明らかになっていないが、同僚殺害という忌まわしい事例に該当するようだ。AP通信が伝えたところでは、発砲があったのはキャンプ・リバティのメンタルケア施設だという。これは、戦闘に関連するストレスを含めた個人的な問題について、兵士たちがカウンセリングを受けられる施設だ。発砲した兵士は身柄を拘束されているという。

フラッギング」[嫌 な上官や同僚を、火器など軍隊の武器で殺傷すること。語源はFragment Grenade(容器の破片が爆発と共に高速で飛散し周囲15m以内の人員を殺傷する「破片手榴弾」)]はベトナム戦争において頻発したが、イラク戦争で は、それに比べればこのような同僚殺害事件は少ない。

『イラクおよびアフガニスタン米国退役軍人会』を創設したPaul Rieckhoff氏は次のように述べている。 「ベトナム戦争のときとは異なり、今の軍隊は職業として選択した志願兵の集まりだ。イラクに駐留する米国の軍人による意図的な同僚殺害事件は、これまでに 5件しか起きていない」[ベトナム戦争では、1969年から1973年までの間に900件以上のフラッギングが発生、少なくとも600人が死亡したとされている]

イラクでの例としては、例えば2003年3月には、クウェートの第101空挺師団に所属していた2人の将校が、手榴弾と発砲による攻撃を受けて殺害された。2005年には、イラクのティクリートにある基地内で2人の将校が、[オフィスの窓辺に置かれていた]クレイモア地雷によって殺害された。[クレイモア地雷には700個の鉄球が入っており、起爆すると爆発によって鉄球が扇状の範囲に発射される。最大加害距離は約250m、有効加害距離は約50m]

この事件では二等軍曹が容疑者として告発されたが、軍法会議で[証拠不十分のため]無罪となっている。[冒頭の写真はこの事件が起きたときに作られた、被害者を追悼する「一時的なメモリアル」。Wikimedia Commons]

フラッギングに関する深刻な問題を抱える軍隊について知りたければ、ロシアに目を向けるといい。ロシアの徴兵制による軍隊、およびそれ以前のロシア赤軍[1918年から1946年まで存在した]には、「Dedovschina」(デドブシーナ)、つまり「祖父たちの規則」と呼ばれる、非常に残虐なしごきの伝統があった。

先に徴兵された兵士たちは、新しい訓練兵に残忍な仕打ちをする権利が認められていた。盗みや強奪、殴打、さらにはレイプまでが日常茶飯事だった。こ れらの気まぐれな仕打ちに加え、上官は徴集兵たちを無料の労働力として利用する習慣があった。1990年代には、将校が兵士たちを建設作業に借り出した り、自分の別荘を建てる作業に当てたりしたという報告を聞くことも珍しくはなかった。ロシアでは現在、軍隊を21世紀の水準に引き上げようとしているが、デドブシーナは残っている。実に陰惨なデドブシーナの話を知りたければ、Andrei Sychev氏の事例を読むといい。

ボリス・エリツィン前大統領による無政府状態の時代、ロシアの徴集兵が突然カラシニコフ[ロシア製のライフル銃兼軽機関銃]をつかんで殺人に走った、という話を聞くのは珍しくなかった。中でも不安をかき立てられたのは、核ミサイルの砲台の監視を命じられていた兵士が逆上し、自分の指揮官を殺害した後、自動小銃の銃弾をミサイル施設に浴びせかけた、という1994年に起きた事件だ。

このような不幸な事件は続いている。ロシアの報道をざっと見ただけで、最近もいくつかの事件が起きていることがわかる。チェチェン共和国では兵士が自分の小隊の指揮官と同僚兵士2人を殺害してから自分にも発砲した。あるいは、徴集兵が口論の後で同僚2人を殺害した。シベリアでは兵士が同僚の兵士2人を殺害した後で自殺している。

こうしたことの教訓は、兵士を人間的に扱い、その精神状態について注意すべきということだ。戦闘のストレスを無くすことにはならないだろうが、少しはマシなはずだ。

{この翻訳は抄訳です}

 

[日本語版:ガリレオ-平井眞弓]

WIRED NEWS 原文(English)


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