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2009/07/13 14:40 |
発信箱:終わりの始まり=福島良典(ブリュッセル支局) |
歴史の神の所作だろうか。このところ国際社会で「終わりの始まり」を予感させる出来事が相次いでいる。揺さぶりを受けているのは政治体制や、既存の枠組みだ。
まず、イスラム法学者が統治する宗教国家イラン。アフマディネジャド大統領「再選」への抗議運動が止まらない。デモに最高指導者ハメネイ師の権威さえ曇りがちだ。
北朝鮮では核・ミサイル実験と歩調を合わせるように健康悪化が伝えられる金正日(キム・ジョンイル)総書記から三男正雲(ジョンウン)氏への後継準備が始まったという。
イランと北朝鮮の核開発への対応を協議したラクイラ・サミット(イタリア)には新興国など40カ国・機関の首脳が参加し、G8(主要8カ国)時代の終えんを告げた。
サミット拡大会合では中国の発案で基軸通貨の多様化が協議され、ドル帝国落日の兆しが表面化し始めた。その中国は新疆(しんきょう)ウイグル自治区の暴動への対応に追われる。
見逃せないのは、グローバル化時代に情報技術が果たす役割だ。イランの抗議運動は携帯電話で拡大した。中国政府は国外から暴動が扇動されたとしてインターネットの接続サービスを一部制限した。
在欧消息筋によると、金総書記が後継体制作りを急ぐ背景には昨年の脳卒中発作の情報が国内でも広まったことがあるという。「人心の動揺を避けるため」との解説だ。
かつて国家の脅威は敵国の軍事力だった。ネット時代の今、各国指導者にとっての新たな脅威は、やすやすと国境を乗り越える電子情報だ。
だが、彼らも、世界を駆け巡り、内外世論に影響を与える電子情報に配慮せざるを得ない。携帯電話とネットを手にした市民が国際政治の舞台に上がったのは間違いない。
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